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  • 執筆者の写真shotaroyahagi

日々の頑張りも欲望も肯定し、半歩だけ背中を押してあげること。



サンキュ!は理想の「奥さん」ではなく共感できる「わたし」に軸を置き、生活情報誌として最後発で誕生。SNS等デジタルが台頭しほかが苦戦するなか小さなリニューアルを重ね、現在は実売部数No.1に。世の中の主婦やお母さんたちのインサイトをぐっと掴む独自のマーケティングや、コロナ禍で変化した生活意識・健康意識についてお伺いすることができました。


徹底したマーケティングの上で、読者にとっての「本当の課題解決」を実現。


ー(LIGHTHOUSE編集部)サントリートレンド編集部LIGHTHOUSE、今回のゲストは『サンキュ!』編集長の飯塚さん(写真左)とブランドマーケティング室長の山本さん(写真右)です。宜しくお願いします!


飯塚氏・山本氏(以下編):宜しくお願いします。


ーはじめに、サンキュ!の雑誌としての編集方針やこだわりを教えてください。


編:本誌の目的は、読者にとって「本当の課題解決」を実現することです。うちはマーケティング室と編集部に分かれており、マーケティング室がインサイト抽出やトレンド研究を行い、それを元に編集部が読者の共感を得られるような誌面を作っています。読者がもやもやしていることやその度合いも含めてきちんと知るために、まずは定量調査やグループインタビュー、自宅訪問まで様々な調査を編集部とマーケティング室共同で行い、家庭のリアルに近づけるよう工夫しています。


ーよく一般の方の家庭訪問調査をされているんですよね。


編:そうなんです。訪問の際は、現場で冷蔵庫や引き出しの奥まで見せていただくようにします。家事や育児、生活に関わる日常会話を広げながら「ですよねーあ、ここも開けますね!」みたいなノリで。読者からすると取材対象に選ばれたことはちょっとした名誉、嬉しいことなので、よく協力をしてくださいます。自分の目標の一つに「サンキュ!に載る」と掲げる人もいます。また企画一つとっても、読者の気分やモチベーションは様々なので色んな切り口で攻めるようにしています。たとえば「痩せる」という企画に関しても時期によっては「本気で3kg痩せたい」ときもあれば、「痩せたい」と言いたい気分だけのときもある。また定量調査では、生活意識や収入などの軸でクラスタ分析もしていますね。



正しいことよりも、言ってほしいことを。キーワードは共感と自己肯定感。


ーマーケティングを徹底されているのですね。他に特集を組む上で意識されていることはありますか。


編:うちの読者層や世の中の主婦って、常に「私ってダメだな」という自分に厳しい部分があるんですよね。毎日の細かい家事に育児、仕事。完璧にやろうと思うとキリがないですが、私たちは彼女たちに「まぁこれぐらいできればいいか」と思ってもらえるように特集を組んでいます。読者に自己肯定感をもってもらう。そのためには共感が重要なので、誌面には家計のやりくりや片付けが得意な“一般の人”に登場していただきます。あくまでリアルなものを映しつつ、そこからいかにステキなビジュアルに昇華できるか試行錯誤しています。あえてダメな演出も出したりするので「この人、この家はすごく素敵だけど、よく見ると私とあまり変わらない」という声はよく聞かれますね。自分より“半歩”だけ進んでいる人やお手本を見せて「これなら私もできるかも」と思ってもらえるような誌面を目指しています。そして「正しいこと」よりも「言ってほしいこと」を言おうと心がけていますね。

ーだからこそ主婦たちに共感や支持を得ているのですね。最近、反響があった特集はありますか。


編:「いかにうまく家事をやめるか」といった切り口の企画ですね。共働きが増えている中、やらなくて良いという企画もウケるようになってきました。そのうえで「やめる・なくす」だけではなく、その先にある「ヤメたあとにもたらされる自分時間」も併せて提案しています。20年前は「タンスや冷蔵庫の中を細かく仕切ってきれいに収納する」など手間のかかる企画が全盛期で、それが専業主婦の多い時代の「良い主婦」という考え方だったと思います。共働きが多くなった今も、心の中の良妻賢母に縛られている人は多いからこそ、上手な手の抜き方の提案が喜ばれていると思います。男性の家庭進出がなかなか進まないと言った背景もありますが・・・。



コロナ禍の主婦は、自分の心と体を削りながらも家族みんなの健康を守る。


ーコロナ禍で主婦たちの意識はどう変わったのでしょうか。


編:顕著なのは家族全体への生活防衛意識の高まりと反動消費ですね。コロナ禍での変化を調査した結果、夫や子供との関係は深まった傾向が見られますが、約7割の母親が精神や身体への負担を自覚しています。特に「家族の健康は私が守らなきゃ」という強い意識をもっているようです。一方、失われた機会に対する欲求もすごく強くなっています。旅行に行けない、外食を控えなきゃいけない、おじいちゃんおばあちゃんに会うのを控えなきゃいけない。今まで姑にそんなに会いたくなかったはずなのに、子供を見せなきゃいけないという想いもあって、すごく頻繁にLINEやテレビ電話をするようになったという人も。会えない状況が逆に関係を密にさせ、価値を高めたんですね。あと反動消費としては旅行や遠くに行けない分、日々の買い物や食事をプチイベントとして楽しんでいるみたいです。いい食材を買ってみたり、ホットプレートを頻繁に使ってみたり。


ー健康に関してはどんなことを気をつけているのでしょうか。

編:健康や免疫アップのために、食事や飲み物を組み合わせて栄養を摂ることを意識しているようです。よく聞くのは「免疫力をつけるため乳酸菌飲料を買っている…」 「コロナ対策に大豆製品食べています」「貧血やイライラ対策に鉄分の多いジュース」とか。

健康意識→栄養素→飲料食品の順番で選ぶんですね。健康のグレードを上げているような気がします。



ソーシャルグッドは主婦の「ほしい」のひと押しに。


ー毎号SDGsの連載企画をされていますが、主婦の社会意識が高まっているのでしょうか。


編:子どもがいると生活に根ざした社会意識は比較的高いと思いますが、この一年でさらに高まったかと。サンキュ!のSDGs企画のSNSではフードロスのテーマが反響ありましたね。お茶殻や野菜の皮を何かに活用するという。改めてそういうのを取り上げる人が増えました。一番盛り上がったのが#フードロスの動画です。


また断捨離ブームが長く続いていましたが、コロナ禍でのイエナカ時間の増加もあり身のまわりを“ととのえる”ことへの意識が一気に強くなりました。環境への意識と居住空間への意識が合わさって、無駄なものを家に置いておくのは気持ち悪いという風潮があります。「洋服を買うときにすごく考える」という人が多くなりましたね。何か商品を買う時点で、それを手放すことも同時に考えるんです。「これだったらメルカリで売れる」「ごみとして出しやすい」というように。ここ数年そういう傾向がありましたが、コロナ禍でより重要になってきた感じがしますね。


だからこそ、SDGsの文脈や理由があると、買うひと押しになるみたいです。ただ自分がほしいだけではなく、社会や環境にいいから、という“+1の理由”になるんです。この前も、かわいいけれど少し高いバッグを買おうか迷っていたところ「障がい者の方がデザインした」という商品の背景が後押しになり購入を決めたという声がありました。その理由やエピソードも含めて周りの人に言うんですね。「地球のため」というのは自己肯定感にも繋がります。変な話ですが以前「1,000万貯めた人はみんなチョコレートを食べている」という大人気記事があったんです。「チョコレート美味しいから食べよう!」より「貯めている人も食べているから食べよう!」のほうがみんな嬉しいんだなって。

何かをやるとき、買うとき、素直な欲求以外に「家族が喜ぶから」「実はこっちの方が効率的だから」という+1の理由があると主婦は動きやすいんです。その中でも「地球や社会のために」は何よりも嬉しい要素なのかもしれないですね。


ー家族の生活を守るという立場がコロナでより一層強まっている中、地球や社会というソーシャルグッドの観点が新しく消費の一押しとして効き始めているんですね。今日はありがとうございました!




LIGHTHOUSEが照らし出す未来

~サンキュ! 飯塚編集長・マーケティング室山本室長~


1.徹底したマーケティングと主婦の本音を引き出す編集力で、建前の裏にある本当の課題解決を実現


2.社会で認められる機会の少ない主婦の心を救うのは、共感と自己肯定感


3.コロナでますます家を守る意識が高まる中で、ソーシャルグッドが消費の後押しの一つの理由になっている


徹底したマーケティングと本音を引き出す編集力のハイブリッドがサンキュの最大の強み。今、コロナ禍にある主婦の心を動かすきっかけを一緒に見つけるならサンキュと組んでみませんか?

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