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  • 執筆者の写真shotaroyahagi

Hanakoの編集にはすべてを「おいしく」仕立てる力がある

更新日:2021年3月19日





サントリートレンド編集部LIGHTHOUSE、今回のゲストは「Hanako」編集長の田島朗氏。

「面白いことに貪欲に」生きるすべての人々をターゲットに誌面も商品も、

あらゆるものをおいしく仕立て上げる独自の編集力に迫りました。



Hanakoのテーマ「毎日をおいしく生きる」に込められた二つの想い


ー(LIGHTHOUSE編集部)サントリートレンド編集部LIGHTHOUSE、

今回のゲストは『Hanako』編集長の田島さんです。宜しくお願いします!


田島朗氏(以下田島):Hanako編集長の田島です。よろしくお願いします。


ーHanakoの編集方針や、編集の際に大事にしていることがあれば教えてください。


田島:Hanakoは「毎日をおいしく生きる」というテーマを掲げているのですが、これには

二つの意味をこめました。一つは「美味しい食べ物を食べて毎日を過ごす」という意味。

もう一つは「おいしい想いをする、いま興味のあることを貪欲に楽しむ」という意味。

なので特集は食に限らず、街や旅、他にも今の働く女性たちが気になるテーマは幅広く取り上げます。最近の「学び」の号(12月号「自分で高める学びの場へ」)も、すごく反響があり好評でしたね。前に担当をしていたBRUTUSでは、女性読者に会った際「女性誌では好奇心が満たされないから男性誌を読んでいる」という声があったんです。それからしばらくしてHanako編集長になったので、既存の女性誌で物足りなさを感じている人たちのニーズをすくいとれたらいいなという想いがありました。


ーその読者の好奇心や関心ごとはどのようにキャッチするのでしょうか。


田島:そもそも僕は男性なので、女性誌を編集するとなるとほぼ妄想になってしまう(笑)

そこで読者組織のハナコラボメンバーと定期的にコミュニケーションをとり、何気ない会話やリサーチからテーマをキャッチします。自身の妄想とハナコラボから得られるリアルをかけあわせて、どんな切り口ができるかをとても大事にしています。

ー読者コミュニティ「ハナコラボ」はどのようにしてできたのでしょうか。


田島:本を作っていて、自分たちがつくるコンテンツを体現してくれる人がいないと面白くないなあと思ったんです。

①こういう人に届けたいなという読者像に近い人たちのリアクションを見ることと、

②届けたい読者像を明確化できる、という両方の期待を込めて、つくりました。

最初は編集部の個人的なつながりで選んだ10人程度だったのが、信頼できる方々からの

紹介やInstagram検索からのスカウトなどをやっていて今や200人以上になりましたね。単にミーハーな人というより、何か自分の特技や専門のテーマを持っている女性が多いです。美容にお酒に、和菓子から納豆まで特化した知識を持っている方など、本当に色々な得意分野の人がいて、面白いです(笑)

組織の対象エリアとしても東京・関西・台北・ホノルルまで広がりました。



目指すはHanakoの多メディア化


ーよく共同開発商品を出されていますが、どのようにコラボ企画を進めていらっしゃいますか。

田島:社内だけでは出ないアイデアを取り入れたいということや、Hanakoの名前がつくとコンビニや量販店の棚に入りやすいということもあり、お声掛けいただきます。元々は商品の包装紙リニューアルからはじまった仕事ですが、「喫茶店に恋して。」シリーズはお菓子だけでなく量販店の売り方にも関わった仕事ですね。色々と気になったところを詰めていって気づいたらパッケージや店舗構造

まで全て変えてしまいました(笑)

お菓子でさえも編集できるのがこれからの編集者だと思うんですよ。その姿勢で取り組むと、味やパッケージ、店舗内装まで時間をかけて一緒に考えたくなっちゃうんです。向こうの担当者の方も、必ずいいもの、今までなかったものを創りたいはずなので。

あと、昨年手がけて大ヒット商品となったのがタピオカアイスバーです。他社がやっている紅茶のミルクティー味ではなく、あえて烏龍茶のフレーバーにしました。ネーミングも「タピオカウーロンミルクティアイスバー」と長い方が違和感を持ち、話題になるかなと思ったのですが、案の定Instagramでも商品名へのツッコミがあって嬉しかったです(笑)


ーたしかに、あの金色の長い名前やオリエンタルなデザインはアイス棚で相当目立っていました・・・!


田島:「いい違和感」をどう作りこむかを大事にしています。誌面で心がけていることが商品開発にも活かされたと思っています。メーカーの方とはまた違うギミックの作り方かもしれませんね。自分の中では編集の延長という感覚です。Hanakoの雑誌本体をきちんと創れているからこそできることですね。雑誌・雑誌編集力の可能性を示せているのかなと思います。

実際、僕以外の編集者も一人ひとりが個別の事業を受け持っています。本を作るだけでなく、他にも楽しいことをしてほしいという想いもありますし、Hanakoというブランドのもとで、オンラインメディアや商品開発、イベント、コト創りなど、編集力の可能性をどんどん広げていきたいと思っています。



一番いいピークの時期こそ、見落とされそうな部分に光をあてる


ー今年はオリンピックイヤーですが、2020やポスト2020に向けて何か企画されていることはありますか。


田島:せっかく東京や日本が注目されるので海外の方々を意識した企画はやろうと考えていますが、その一方でオリンピック中や盛り上がった後の漠然とした不安にフォーカスした特集も組むつもりです。

災害とか、インフラ、貧富格差など影の部分が濃くなるかもしれない怖さ。みんなが浮かれて楽しい時期だからこそ、足元をきちんと見る取り組みをやっていきたいと思います。

楽しいお祭りの後の“維持”や“発展”をテーマに盛り上げていきたいですね。

たとえばSDGsや防災、女性の働き方特集など。ただ教科書を作りたいわけではないので、

エンターテインメントの中でどう楽しく伝えられるかを大切にしたいと思っています。

特集も第1特集ではなく、あえて第2特集で取り上げる予定です。既に意識高く、気をつけている方だけでなく、”うっかり”この記事に出会い、知ってほしい。説教くさくならない、Hanakoらしく伝えられたらと。楽しく読んでいたら、実はためになることだった・・・っていうのが理想ですね。


ー雑誌を読むと自分では気づいていなかった好奇心に気づくことがあります。学びの号もそうですよね。


田島:そうですね。あと「1月号 神社とお寺」の特集も。神様に祈ったり、お守りを買うだけでない新しい楽しみ方をする人が増えました。そういう、今までとちょっと違うムーブメントを作れるといいですね。新しい情報や興味がわくコンテンツに「うっかり出会える」のが雑誌の魅力です。情報だけでなく一緒に物語も伝えられるので。



色やシズルよりも「世界観や言葉への共感」を大切に


ー「お酒と、わたしと。」の企画はどのように作られたのでしょうか。


田島:Hanakoを編集していて気付いたのが、読者のみなさんは食べるのも飲むのも好きだけど、ただの情報だけではなくシーンとして提案してあげないと惹かれないんだなということ。商品のラベルも、モデルの方でなくカメラの方を向いていたら“シーン”じゃなくて広告写真に匂ってくる。色とかシズルも大切ですが、共感できる「世界観」のシーンをどうやって背景にスルッと落とし込めるかが大事です。

ただ美味しくキレイに写せばいいわけじゃなくて、いかに普段の生活を切り取れるか、言葉や世界観に共感してもらえるかを意識して作りました。


ーそれは今だからできる表現方法なのでしょうか。


田島:そうですね、一昨年の10月から月刊化しましたが、32年前に週刊の情報誌として創刊したときは(お酒特集のようなテーマを)こんな余裕のあるデザインで贅沢に誌面を作るなんて思いもしなかったかもしれないですよね。木曜に買って、今週末どう過ごすかのバイブルとして読むという軽やかさがありました。

また、情報の詰め込み方にも違いがありますね。インターネットが出てくる前の雑誌って、

正しい情報を全て記す必要があった。地図を書いたり、細かい情報を加えたり。でも、それで失われる

ビジュアルの美しさもあるんです。親切であるための呪縛ですね・・・・・・。

今やインターネットがあるから、雑誌は「きっかけをどれだけ散りばめられるか」に集中し、表現を研ぎ澄ましてもいい。情報が不完全でもどこかフックがあればいい。今の雑誌だから、情報をそぎ落としても成立するんです。そういう意味でも「雑誌かウェブか」的な二元論は意味がないと考えます。


ーなるほど。自由度が増した今でも、シーンに落とし込んだクリエイティブを作るのは難しそうですね。絶妙な調整やニュアンスのすり合わせが必要そうです・・・。


田島:クリエイティブを作るときや、何かを決めるときは、なるべく人を減らして話すようにしているんです。関わる人が増えるほど多数決になってしまうので。このお酒特集も、僕と一人の担当編集の間で他愛のない言葉でやりとりして進めました。あと、上司部下関係なく“どちらの言ってることが面白いか”で決めます。議論の場の「健全さ」をとても大事にしています。


ー企画やクリエイティブ制作の進め方から、今後の編集者の可能性まで、大変勉強になりました。

 今日は面白いお話をありがとうございました!


田島:ありがとうございました。


「お酒と、わたしと。」誌面(2019年12月号)





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