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執筆者の写真shotaroyahagi

信条のもとに発信し続ける“普通の人”たちの多様性 ーみんなが違って当たり前。百人百様の暮らしのリアルー


第6回

東京グラフィティ編集長

鈴木俊二氏


サントリートレンド編集部LIGHTHOUSE。

今回のテーマは「暮らす」。


第6回はエッジィな特集で攻め続ける

「東京グラフィティ」編集長、鈴木氏にインタビューを実施。


誌面づくりの一貫したスタンスや、編集長自身の世の中への想いとビジョン、

そして、誌面外の新しい仕事のお話まで、お伺いすることができました。


同じ時代に色んな人がいて色んな考え方があっていい。それが当たり前だから。

ー(LIGHTHOUSE編集部)サントリートレンド編集部LIGHTHOUSE、

第6回のゲストは、グラフィティ社『東京グラフィティ』編集長の鈴木さんです。

宜しくお願いします!


鈴木氏(以下鈴木):宜しくお願いします。


ーはじめに、『東京グラフィティ』の雑誌としての編集方針やこだわりを教えてください。

鈴木:

2004年の創刊時からですが、基本的に掲載するのは一般の人です。

なるべく沢山、数百人は出すようにしています。

スタンスとしては、特にトレンドなどの提案をしているわけではなく、こんな人がいて、

こんな部屋に住んでいてこんな考えをしているよ、という羅列です。

それに対してどう思うかは全て読者に任せています。編集部は何もコメントはしません。


ーものごとの“羅列”ですか。どうしてそのようなスタンスで誌面を作るのでしょうか。


鈴木:

あまりメディア側から解釈を加えたくないんです。例えばテレビのニュースを見てても、

解説者のコメントや解説が必ずついていますよね。数十年前は違ったんですけどね。

内容も、世の中の最大公約数的な解釈が多い気がします。

受け身でテレビを見ていると、その多数の考えみたいなものが染み付いてしまう。

それが良くないな、と思いまして。

単に、たくさんの事実を並べるのも面白いんじゃないかなって考えたんです。

創刊してすぐに「一体この雑誌は何が言いたいんだ」と批判があがったのですが、

むしろそう思ってくれていいと思いました。


ーカップルフォトやLGBT、おしゃれシニアなど、本当に様々な切り口で特集されてますよね。


鈴木:

そうですね。唯一の共通項としては「今の時代に生きている人」。

ネットの発達もあって、同じ考えやテイストの人同士でかたまりがちですよね。

同質な人だけで固まるのってどうかなと思うんです。異質な人、おしゃれな人もおたくも、並べたいなって。あんな人もこんな人もいていいじゃんって。創刊からやっているVOICEのページはウケ狙い・おふざけ禁止で真面目に書いてもらってるんですけど、バラバラの回答が並んでますよね。ネットだと多分反論も出ますが、でも“あなたと私”で違うのって当たり前なんですよ。


“身の丈”範囲の贅沢が、イマドキ

ー今回のテーマは「暮らす」なのですが、編集長から見て、昔に比べて暮らし方に変化はありますか。


鈴木:

大きな流れとしては、部屋をオシャレにするようになりましたね。

創刊時は、インテリアに凝る人は少なかったです。あと、「若者の車離れ」と言われて大分経ちますが、私の頃は大学を出たら、無理してローン組んで車を買ってた男性が多かった。

女性もそれを要求したりね。でも、今の時代はそういう男女がかなり減ってきた印象です。

男女ともに身の丈にあった暮らしで楽しもうよ、という風潮になってきたかなと思います。あと、モノよりコトへのシフトはひしひしと感じます。服は古着で買っちゃうけど、

夏フェスには何万もかける、とか。


ーたしかにそうですね。無理して贅沢するのは今っぽくないといいますか。


鈴木:

住むところに関しては、古い家をいい感じにアレンジしておしゃれにするっていうスタイル、が今一番オシャレな感じしますね。まあ冬はちょっと寒いけど風合いがいい、みたいな。

社会的にも、これから空き家が出てくるでしょうし、賃貸でも壁紙いじってOKな部屋が結構出てます。まさに、自分のできる範囲で工夫して、楽しく、おしゃれに暮らそうって人が増えてくるでしょうね。


「一般の人」を主人公に新たな仕事を生み出す

ーホームページに、企業さんとのコラボ事例が載っていたのですが、そういう依頼は多いのでしょうか。


鈴木:

ページを売るというか、雑誌の広告枠のビジネスはあまりやってないですが、その代わり

「普通な人を取材する」という、コンテンツ作りそのものがビジネスとして売れています。

採用のコンテンツだったり高校生向けに楽しい大学生活の紹介冊子だったり。

沿線や自治体からお仕事の依頼がくることもありますね。


ー沿線と自治体まで!幅が広いですね。


鈴木:

住民が楽しく暮らしている感じを、東京グラフィティフォーマットに落とし込むんですね。タイムスリップ写真とか。色々なバリエーションができますね。


ー「一般の人を主人公にできる」と何でも応用できますね。

鈴木:

そうなんです。タレントやモデルではなく、「一般の人」を紙面に出して、面白くなるような企画を、10年以上考えてきましたからね。「一般の人」が読んでいて楽しい、「一般の人」の企画。


ー今後、『東京グラフィティ』として向かっていきたい先、ビジョンはありますか。


鈴木:

創刊時とあまり変わりませんが、とにかく、自分と違う趣味・考えを持って暮らしている人たちがいて当たり前、という空気が強くなればなあ、と。慣れというか、そういう空気になっていくと思うんですけどね。たとえば、LGBT特集を始めた昔に比べて、今は理解がぐんと進んできている。特に、若い世代ほど偏見がないですね。自治体も変わってきていますし。今思い返すと、外国の方のコンビニの店員も一昔前なら珍しかったでしょう。


ーおっしゃる通り、昔は今よりも色々なものへの偏見とか色眼鏡みたいな見方が多かったかもしれません。


鈴木:

あとは、スタイルとか暮らし方もそうですよね。

コンビニのバイトだって、昔は金髪やピアスはNGのお店が多かった。ルームシェアや同棲も、昔は物件的にNGだったり、親が反対したり、ということが結構ありましたよね。10年前は、ルームシェア特集って、かなり評判良かったんです。今は当たり前になって、あえてそのテーマだけで特集することでもないなと思いました。10年前新鮮だったことが今は“普通”になっています。

『東京グラフィティ』としては、「昔なら絶対NGで、誰も取材させてくれないけど、

今はこのレベルならぎりぎり出てくれる人がいるよね」という、ギリギリのラインを探していきたいですよね。そして、面白おかしく加工や論評をしないってスタンスが、出てくれる人からの信頼につながっているのだと思います。

「普段、取材は受けないけどグラフィティならいいよ」と言ってくれる人もいるんです。



ーなるほど。そのスタンスが一貫しているから、エッジィな特集でも、出てくれる人がみつかるのでしょうね。本日は本当にありがとうございました!


鈴木:ありがとうございました!



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